ガラスの棺で夢を見る

カラスの悲鳴が砦を飾る

見えざる体は毒素をはらみ

剥き出しの心臓は時を失った




残飯を漁るカラスが言った

姫の体は骸と化した

砦を舞う禿鷹が言った

姫の内臓は旨かった

散り砕けたガラスは姫に被さり

その金髪を七色に飾る




右手には断罪の斧を握り

左手には涙を拭くハンカチを握り

頭は既に無く

右足には鋼鉄の足枷を嵌め

左足には絹のスカーフを巻き

体はもはや跡形も無い

青いドレスが空に舞う




城下の鼠はこう言った

で、姫というのは誰なんだ?




宝は人の手に渡り

城はそこに残された

姫は変わらず城にいる

誰も気付けはしないけれど

塵と化した金糸の髪は

塵と化した青いドレスは

塵と化したその手足は

誰にも見えなかったから




残った斧は山賊に奪われた

山賊は姫の友人を斧で殺した

お前は姫を覚えていない

残った足枷は死人に奪われた

死人は生者に足枷を嵌めた

お前達は姫を覚えていない




だから城はそこにある

それは姫の変わらぬ寝所

それは永遠に閉じた場所

だから姫はそこにいる

塵と化して空を舞いながら

変わらぬ砦を飾っている




そこだけは決して変わることはない




永久の眠りに