腕の中で眠る少女を優しく見下ろして、紅蓮は小さく息を吐いた。ここは安倍家の彼女の部屋だ。気配が外に漏れないように、彼女自身が結界を張っている。
彼女は安倍。昌浩の双子の姉だが、霊力の高さは晴明をしのぐ。そしてそれに比例するようにひどく病弱だった。今も青い顔で力無く紅蓮にもたれかかっている。
そっと黒髪を梳いてやって、紅蓮は複雑なため息をついた。
本当に彼女の健康を第一に考えるなら、自分はむしろいない方が良いのだ。凶将の神気は体に障る。逆に寿命を縮めてしまうかもしれないのだから。
何度もそう言っているのに、そのたびに彼女は笑うのだ。
『側にいて欲しいんだよ。』
「なぁ、・・・」
お前は、どうして
「俺を望んでくれるんだ・・・?」
恐くはないのか。嫌ではないのか。
「・・・」
「・・・なぁに?」
不意に返ってきた言葉に少女の顔をのぞき込むと、ゆるゆると目を開けたが幸せそうに笑っている。
「・・・」
「・・・紅蓮、私はね・・・」
もう一度目を閉じながら、は祈るように言った。
「紅蓮の側が、いいんだよ・・・」
少女を抱きしめる神将の腕に、僅かに力がこもった。
<FIN>
君でなくては、僕は生きては行けないだろう