団子より花



おいしい、と噂のお茶屋さんがあったから行ってみた。確かに美味しくて接客も良かったけど、結局幸村には教えていない。

何故か。

「恋敵って増やしたくないんだよね。」

ボソリと呟くと、佐助は店内で立ち働く少女に目を向けた。

名前は。この店の従業員の一人で、密かに客に人気が高い天然な女の子だ。彼女の親衛隊なるものもあるらしく、一つの机を占拠して彼女に熱い視線を送る男の一団がそれだということだ。佐助としてはそのまま気づかずにいてくれと願うばかりである。

ようするに、真田忍隊の長である猿飛佐助は、一人のお茶屋の少女に片思いしているのだった。

「佐助様、お代わりを召し上がりますか?」

穏やかに聞いてくるに、笑って「じゃぁもう一皿・・・後、おみやげに一皿、よろしく。」と注文すると、パタパタと奥へ消えていく。実にかわいらしい。

「俺様が只の忍だったらなぁ・・・」

いくらでも事を進められるのだが、彼は忍だ。そう簡単に告白など出来ない。

ムムム、と悩んでいるとが団子を持って戻ってくる。

「お待たせしました。」

「ありがとー。あれ、一つ多くない?」

おみやげに、と頼んだ方が一本多い。が唇に指を当てた。

「おまけです。味わってくださいね。」

ニコッと笑うにわずかに顔を赤らめつつ頷くと、佐助は思った。

とりあえず、しばらくはここに通い続けることになるだろうな、と。




団子より花